まだ暑さの残る8月の終わりの日、中野駅の南口から徒歩2分、小高い丘の上に建つ「中野住宅」の建て壊し前の内覧会に行ってきました。
こちらは、戦後7年目の1952年に建てられた、東京都住宅供給公社が管理する賃貸住宅では現存する最古の団地です。
【外観①】
【ポイント】
〇団地は7棟で248戸で、建物はすべて4階建て。
〇階段室の前はタイルが施されていておしゃれ。
【外観写真集】
建物のナンバープレートが鋳物で何とも言えない味わいがある
建物の階段の入り口も一部レンガが埋め込まれ、おしゃれ。
しかも、耐震診断が済んでいたとは・・・。
個人的には、このドアの色がツボでした。どっちの色もとても味があって凄くいい。
よーく見ると、中央に小窓がついており、カーテンがかかっています。
うーん、かわいくていつまでも見てられます。
【室内の様子① キッチン~お風呂~バルコニー】
【ポイント】
〇お部屋の中は6畳と4畳半の和室に台所、お風呂、トイレ、バルコニーの2Kの間取り。
〇台所は今でいうL字型キッチンで、使いやすそう。
〇キッチンに面したバルコニーをつぶしてお風呂が増設されている(小さくても自宅にお風呂があるって当時は凄いことだったんだろうな)
【室内の様子② 居室】
【ポイント】 〇天井や壁は角がなく、丸く仕上げてこだわりあり
【面白いエピソード】
〇当時まだ水洗トイレが珍しく、近所の人がトイレを借りに来ていた
〇水洗トイレ用に開発されたトイレットペーパーというものがスーパーでは売っておらず、違うもので代用していたため、トイレ詰まりが頻発し、団地内の管理事務所でトイレットペーパーを売ることになった
〇屋上は開放されていて、子どもたちの遊び場だった。6・7号棟は2m離れているが、その間を飛び移るのが子どもの間で流行っていた
〇実は、中野住宅の建て替え自体は平成2年に決まっていた。当時子供がいたご家庭は、転校しなきゃとか引っ越し先を探したりしていたのに、建て壊しが色々な事情で延びたら、当時の子どもはもうすっかり大人になり、この団地から巣立っていった
【屋上に上がって】
屋上に上がると、既に建て壊された5号棟跡には、14階建てのコーシャハイム中野フロントが建っていました。
先述のとおり、駅前の小高い丘に建っている中野住宅は4階の屋上とは思えない見晴らしの良さ、心地よい風があり、こんな贅沢な住環境はもう作れないんだろうなと思いました。
(写真左:再開発の設計は私も参加している“団地女子会”でご一緒しているria(アールアイエー)さん
写真中央:すでに壊された5号棟跡地に建つ、コーシャハイム
写真右:建て替えに当たり、住民の引っ越し先の相談所が敷地内のすでに立ち退いた部屋で開かれていた)
中野住宅は来週、その67年の歴史に幕を閉じ、建て壊し工事に入ります。一つの団地がまた幕を閉じますが、そこで生活した人たちの暮らしが垣間見え、心に刻まれるるいい訪問となりました。ありがとうございました。
【information】
JKK東京 中野住宅特設ページ
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