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ご近所以上、家族未満。巨大団地に生まれた、新しいつながりの実験場-団地テーブルが教えてくれること-(前編) 

  • 5 分前
  • 読了時間: 4分
団地テーブルは花見川団地の商店街にあります。 写真©Koji Tsuchiya
団地テーブルは花見川団地の商店街にあります。 写真©Koji Tsuchiya


千葉市花見川区にある花見川団地。その商店街の一角に、2024年11月、新しいコミュニティスペース団地テーブルがオープンしました。

ここは、日替わり食堂やシェアリビング、シェアキッチンを備え、地域住民や若者が自然に集い、思い思いの時間を過ごせる場所です。「ご近所以上、家族未満」というコンセプトのもと、人と人とのゆるやかなつながりを育んでいます。

舞台となる花見川団地は、1968年に入居が始まり、日本の高度経済成長を支えてきた巨大団地です。商店街がにぎわった時代を経て、高齢化や人口減少により地域の姿は大きく変化しました。しかし近年、MUJI×URによる「団地まるごとリノベーション」をきっかけに、新たな地域交流の拠点づくりが進んでいます。

今回は、その中心の一つである団地テーブルを訪ね、誕生の背景や空間づくりの工夫、そして立ち上げ後に直面した課題までお話を伺いました。



団地テーブルとは何か

団地テーブルの内観。温かみのある赤い絨毯と、木のコンビネーションが優しげな雰囲気をつくりだしています。


団地テーブルの内観。温かみのある赤い絨毯と、木のコンビネーションが優しげな雰囲気をつくりだしています。
団地テーブルの内観。温かみのある赤い絨毯と、木のコンビネーションが優しげな雰囲気をつくりだしています。
団地テーブルの空間構成   提供:SPROUTZ Studio一級建築士事務所(https://sproutz-studio.com/)
団地テーブルの空間構成 提供:SPROUTZ Studio一級建築士事務所(https://sproutz-studio.com/

団地テーブルは、商店街に面した1階と、その上の2階で構成されています。1階は「日替わり食堂」と「シェアリビング」がひとつながりになっています。入り口で靴を脱いで上がる設計で、訪れる人が自然とくつろげる雰囲気をつくっています。商店街通りに向けて開かれた店構えは、通りがかりの人も立ち寄りやすく、団地と商店街のつながりを生み出す工夫です。2階にはシェアハウス(社宅)があり、住人の生活空間と地域に開かれた場所が、階段ひとつでつながっています。


なぜシェアハウスが社宅になっているかというと、団地テーブルの運営会社が住戸を借り上げ、スタッフや関わりのある若者が入居する形をとっているためです。単なる居住スペースではなく、1階の日常運営を支える人材がすぐそこに暮らしているという仕組みにすることで、住む人が場所を育てていきます。


空間の中央には食堂とリビングを結ぶメインテーブルがあります。このテーブルを囲むことで、日替わり店長もお客さんも番頭さんも、自然と同じ場所に集まってくる仕掛けになっています。団地テーブルはシェアキッチンでもあり、日替わり食堂でもあり、シェアリビングでもあります。そして、誰もが「1日店長」として小さなお店を開ける場所です。


立ち上げたのは3人の共同主宰。全国24拠点650室のコミュニティ型シェアハウスを運営する株式会社絆家の代表・平岡雅史さん、花見川団地に自ら移住しソトやパブリックスペースを豊かにすることを目指す一般社団法人ソトノバ ディレクターの岩宗勇希さん、そして建築家でプレイスプロデューサーの株式会社SPROUTZ Studio代表の浅子雄祐さん。異なる専門性を持つ3人が「団地をひとつのシェアハウスとして見立てる」というビジョンのもと、この場所を生み出しました。


コンセプトは、「ご近所以上、家族未満」。深い関わりを強いるわけでも、隣人と完全に無関係なわけでもない。そのあいだに漂うような、緩やかなつながりを育てる場所として、団地テーブルは設計されています。


共同主宰の岩宗さん(左)、浅子さん(中)、平岡さん(右)
共同主宰の岩宗さん(左)、浅子さん(中)、平岡さん(右)
美しい空間だけでは、人は来なかった

実は、オープン後しばらくして落ち着き始めた頃から、思うようにいかない時期があったそうです。

オープン期に入居したシェアハウス(2階社宅)の若い人たちは、それぞれの次のステージへと旅立っていきました。日本一周の旅に出る人、新しいビジネスに挑む人。彼らを引き止めることはできないし、すべきでもありません。

ただ、入居者が次々と抜けていった結果、1階の維持管理が困難となり、お店を一時クローズせざるを得ない状況にまで追い込まれてしまいました。

「誰もが1日店長になれる」というコンセプトにも、誤算がありました。

自分が作ったものに値段をつけて、それを人に買ってもらう。それがどれほど高い心理的ハードルか、共同主宰は最初、十分に想像できていなかったのです。

特定の誰かの善意と自己犠牲に依存する仕組みは、崩れやすい。全国のコミュニティスペースが直面するこの問題に、団地テーブルも正面からぶつかっていました。

では、この状況をどう乗り越えたのか。後編でお伝えします。





大泉早花(おおいずみ はやか)/ ライター・大学院生


学部の卒業設計では、多文化共生と地域連携による団地再生を提案したご縁で、団地女子会に参加。修士課程ではその研究をさらに発展させ、都市一極集中による高密な住環境とは異なる、団地が持つ豊かな環境を活かし、オルタナティブな住空間とコミュニティの創出について探究したいと考えています。趣味は街歩き、旅行のVlogをみること、映画鑑賞、読書、などなど。団地女子会メンバー。

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